ニック・ケイヴ
ニコラス・エドワード
1957年生まれオーストラリア出身。世界中で熱狂的な人気を誇るシンガー・ソングライター、ニック・ケイヴ。オーストラリアが生んだ鬼才はミュージシャンの他にも詩人、作家、画家、俳優としてマルチな顔を持つ。ザ・バースデイ・パーティ等いくつかのバンド活動を経て、83年にニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズを結成。翌84年にデビュー・アルバム『フロム・ハー・トゥ・エターニティ』をリリース、その後の音楽表現のメインとなり、現在までに通算17枚のスタジオ・アルバムを発表している。彼らは最も高い評価を受ける現役バンドの一つであり、ジョニー・キャッシュからメタリカ、アークティック・モンキーズに至るまで、様々なアーティストが彼らの作品をカヴァーしている。
コンスタントに作品を発表し続け、2019年、ザ・バッド・シーズを率いた17枚目のアルバム『ゴースティーン』 をリリース。この作品は2013年の『プッシュ・ザ・スカイ・アウェイ』、2016年の『スケルトン・ツリー』に続く3部作の最終章にして2部構成となる大作となった。テーマは息子やバンド・メンバーの死。静謐なシンセサイザーをバックにストリングスやコーラスが溶け込み、時に鎮魂の鐘を思わせるような音色が鳴り響く。憂いのある歌声は悲しみを乗り越えた荘厳なレクイエムとなり、胸の奥底に深い感動を与えてくれる。既に60歳を超えたニック・ケイヴだが、この10年ほどの間に世に送り出される新作の全てが世界中で高い評価を受けており、商業的にも今まさに彼らの最盛期を迎えていると言っても過言ではない。
野性と知性が同居するこの唯一無二のカリスマを育んだケイヴに、ボビー・ギレスピー(Primal Scream)、ジャーヴィス・コッカー (Pulp)やアレックス・ターナー(Arctic Monkeys)等、個性派アーティスト達がこぞって憧れるのも無理はない。